二式大型飛行艇






太平洋戦記2( ジェネラル・サポート)より抜粋


○二式大艇の製造背景や性能について

水面から発着できる航空機は一般に水上機と呼ばれるが水上機の中でも機体その物がフロートを兼ねる航空機は特に飛行艇と呼称される。
また飛行艇は3発以上のエンジンを装備した大型飛行艇(大艇と略)、双発の中型飛行艇(中艇と略)単発の小型飛行艇(小艇と略:ただし日本海軍ではほとんど開発されてない)の3種類に分類されていた。
日本海軍の飛行艇開発は1921年に初飛行した「F5号飛行艇」に始まる。
以降、日本海軍は川西航空機(以下川西)、愛知航空機(以下愛知)と協同して各種の飛行艇を開発していったのである。
当初開発が進められたのは「15式飛行艇」や「89式飛行艇」などの中艇であったが「90式飛行艇」からは3発の大艇となり1938年に完成した「97式大型飛行艇」(「97式大艇」)から本格的な4発大艇となった。
97式大艇は航続力が4130q(11型)と長く実用性も優れた名機であったが防御力が大変弱く機体と主翼が別構造の旧式な外観をしていた。
1938年、日本海軍は97式大艇の後継機となる新大艇開発を川西に命じた。
新大艇は「13試大型飛行艇」(「13試大艇と略)として開発されたがその要求は最高速力444q/h、航続距離8334q以上と大変厳しかった。
ことに速力の向上が難題であった。
高速向上には空気抵抗低減化や出力増大化、軽量化などの手段が考えられる。
そこで川西は主翼と機体の一体構造化によって空気抵抗を減らす事にした。
だが主翼位置が下がると離着水時に主翼で水面を叩き易くなり実用性が大幅に低下してしまう。
そこで13試大艇にはインボードステップや親子フラップなどの新機軸が導入され技術力で実用性の維持が図られたのである。
13試大艇の試作機は1940年12月に完成し翌年から改修が始められた。
離着水能力で若干の問題は出たが開発は順調に進められ1942年2月、13試大艇は「2式飛行艇11型」(以下「2式大艇」)として制式化された。
要求機能を達成するには至らなかったが11型は最高速力433q/h、航続距離7200qを発揮し日本海軍を充分満足させた。
また2式大艇には日本海軍機としては珍しく充分な防弾装備が施されていた。
1943年6月には出力を増大させ武装を強化した12型が制式化されている。

続いて開発された22型は防弾装置を強化した実験機なので制式化されず23型も出力強化型の実験機であった。
2式大艇の生産機数は131機にのぼり輸送型である「晴空」(航続力4439q、輸送人員64名:ただしゲーム上は60名:2個小隊または物資6tとしてデータ化)も36機が生産された。
なお晴空の後継機として蒼空も計画されたが完成には至っていない。
蒼空は兵員80名もしくは貨物6tを搭載(ゲーム上は兵員90名:3個小隊または貨物9tとしてデータ化)できる全木製の輸送大艇であった。
晴空と同じエンジン出力にも関わらず重量の増加する木製構造と大搭載量を実現化する為、蒼空の翼面積は晴空の160uに較べて遥かに広い290uとなっている。
ただし全備重量が増大した為、蒼空の飛行性能は晴空に較べ格段に低下した。
2式大艇は大型飛行艇の割には比較的高速であり防御力、実用性、航続距離の点に於いて他国飛行艇の追随を許さぬ世界最高の飛行艇であった。
初陣は1942年3月におこなわれた「K作戦」である。
K作戦とは長距離飛行艇をもってマーシャルからハワイを攻撃する作戦で2式大艇2機が使用された。
ミッドウェー海戦の前にもハワイの在泊艦船を確認する目的で第2次K作戦が予定されたが中間補給基地が米軍に占拠されてしまい断念している。
2式大艇は爆撃や偵察のみならず輸送にも幅広く活用された。
山本五十六大将の戦死後、連合艦隊司令長官を引き継いだ古賀峯一大将がパラオからダバオへ移動中に殉職した際にも2式大艇が使用されている。
また1945年3月に行われた「銀河」による丹作戦(攻撃262飛行隊のウルシー泊地に対する奇襲特攻)でも2式大艇が先導機として使用された。
本機は連合軍にエミリー(Emily)と呼ばれていた。


2式大型飛行艇11型諸元
全幅38.00m   全長28.13m 全備重量24500s 乗員10名
出力1530馬力4基 速力433q/h
武装20o機銃3門 7.7o機銃3門 魚雷2本または爆弾2000s

2式大型飛行艇12型諸元
全幅37.98m   全長28.13m 全備重量24500s 乗員10名
出力1850馬力4基 速力454q/h
武装20o機銃5門 7.7o機銃4門 魚雷2本または爆弾2000s

大型輸送飛行艇 晴空諸元
全幅37.98m   全長28.12m 全備重量26683s 乗員9名
出力1850馬力4基 速力420q/h
武装20o機銃1門 13o機銃1門 輸送人員64名

大型輸送飛行艇 蒼空諸元(計画値)
全幅48m      全長37.72m 全備重量45500s 乗員5名
出力1850馬力4基 速力370q/h
武装13o機銃3門 輸送人員80名

○戦時中の二式大艇の写真



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